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泉州図鑑

「支援する・される」ではなく、互いに必要とされる関係へ。泉州から広がる「月紬-TUMUGIプロジェクト」

人手が足りない企業がある。

その一方で、仕事を必要としている就労継続支援施設がある。

この二つをつなぎ、どちらか一方だけではなく、関わるすべての人にメリットが生まれる仕組みをつくれないか。

そんな考えから活動しているのが、**「月紬-TUMUGIプロジェクト」**です。

活動の中心にいるのは、有限会社ティーイングの会長を務める竹本高弘さん。

企業と就労継続支援施設をつなぐ仕事づくりから、施設でつくられた商品の販売、キッチンカーの出店支援まで。

泉州を中心に、地域の中に新しい「仕事」と「つながり」を生み出す活動を続けています。

人手不足と仕事不足。二つの課題をつなぐ

月紬-TUMUGIプロジェクトが始まった背景には、竹本さんが企業経営の現場で感じてきた人手不足があります。

大手企業や中堅企業を中心に賃金が上昇する中、小規模事業者にとって人材確保は簡単ではありません。

一方、竹本さんが関わる就労継続支援施設には、働くことのできる利用者がいながら、十分な仕事を確保できていないケースもあるといいます。

そこで考えたのが、

「人手を必要としている企業と、仕事を必要としている施設をつなぐ」

という仕組みでした。

企業から内職や簡易加工などの仕事を切り出し、施設へ依頼する。

企業側は人手不足を補うことができ、施設側には継続的な仕事が生まれる。

「支援する側」と「支援される側」に分けるのではなく、お互いに必要とされる関係をつくること。

それが月紬-TUMUGIプロジェクトの原点です。

12の就労継続支援施設、延べ約200人とのつながり

竹本さんによると、現在取引している就労継続支援施設は12施設。

延べ約200人の施設利用者が関わっているといいます。

さらに、月紬-TUMUGIで扱う商品の多くは、障がいのある方や支援を受けながら働く方、高齢者などによって生産されているとのこと。

竹本さんは、施設利用者について、

「私たちにとって欠かせない存在、従業員だと考えています」

と話します。

「障がいがあるから、できる仕事が少ない」

そう決めつけるのではなく、どんな作業ならできるのかを考える。

内職や簡易加工をはじめ、仕事内容を細かく分ければ任せられる仕事はあります。

企業側の人手不足と、施設側の仕事不足。

一見すると別々に見える課題ですが、うまくつなげることで両方を解決できる可能性があります。

仕事をつくるだけではなく、「売るところ」まで

月紬-TUMUGIの活動は、企業から施設へ仕事を紹介するだけではありません。

施設でつくられた商品の販売や、販路づくりにも取り組んでいます。

関わる施設では、カレー、焼き芋、洋菓子、パン、タコス・タコライス、アクセサリー、雑貨、装飾品など、さまざまな商品が生まれています。

けれど、良い商品をつくっただけでは売上にはつながりません。

知ってもらう。
手に取ってもらう。
また買ってもらう。

そこまでつくって、初めて継続的な仕事になります。

だからこそ竹本さんは、商品の製造だけでなく、販売や広報まで含めて支援しています。

キッチンカーを使って、地域の人と直接つながる

その取り組みのひとつが、キッチンカーでの販売活動です。

就労継続支援施設が運営・関係するキッチンカーに加え、活動に賛同する一般のキッチンカー事業者とも連携しています。

販売されるものは、カレー、焼き芋、焼き菓子、タコス、炭火焼き鳥、クレープなどさまざま。

商品を売ることはもちろんですが、もう一つ大きな目的があります。

それは、

「こんな仕事をしている施設があることを、地域の人に知ってもらうこと」

です。

施設の名前や活動内容を知らなくても、

「このカレー、おいしいな」

「またこのキッチンカーに来てほしい」

そんなところから関係は始まります。

実際、少しずつ常連と呼べるお客さんも生まれてきているそうです。

ヨドコウゴルフセンターとの連携

キッチンカーの出店場所のひとつとなっているのが、ヨドコウゴルフセンターです。

竹本さん自身、長年ゴルフに関わってきた経歴があります。

会社員を退職した後にゴルフ指導者の資格を取得し、ゴルフスクールの立ち上げや運営にも携わってきました。

そうしたつながりからヨドコウゴルフセンターへ相談したところ、活動の趣旨に賛同してもらい、キッチンカーの出店につながりました。

現在はSNSなどを通じて出店するキッチンカーを募りながら、就労継続支援施設の商品や活動を知ってもらう場として活用しています。

ヨドコウゴルフセンターでは、この取り組みについて出店料を取らず協力しているとのこと。

地域の企業や施設、キッチンカー事業者が、それぞれのできる形で参加することで活動が成り立っています。

「善意だけ」に頼らない仕組みにしたい

月紬-TUMUGIの活動で、竹本さんが特に大切にしている考えがあります。

それが、

「協力してくれる人に甘えすぎないこと」

です。

社会貢献だから。

障がい者支援だから。

その理由だけで、誰かがずっと負担し続ける仕組みでは長く続きません。

企業にもメリットがある。

施設にも仕事と収入が生まれる。

出店するキッチンカーにも売上が残る。

会場を提供する側にも価値がある。

そして、お客さんにも喜んでもらえる。

竹本さんが目指しているのは、関わるすべての人にメリットが生まれる関係です。

支援を善意だけに依存させず、「仕事」として継続できる形にする。

そこに、このプロジェクトの大きな特徴があります。

一番難しいのは「知ってもらうこと」

活動を続ける中で、一番大きな課題になっているのが広報と認知度です。

竹本さんは以前、大手広告代理店に勤務した経験もあります。

だからこそ、広告や広報の重要性は十分理解しています。

しかし、広告費をかけずに活動を知ってもらうことは簡単ではありません。

キッチンカーの活動もまだ始まったばかり。

地域での認知度が低く、十分な売上につながらないこともあります。

それでも、協力してくれる人が少しずつ増え、繰り返し利用してくれるお客さんが生まれてきました。

大きく一気に広げるのではなく、地域の中で一人ずつ理解者を増やしていく。

現在は、そんな段階にあります。

泉州を中心に活動する理由

月紬-TUMUGIは、岸和田をはじめとした泉州地域を中心に活動を広げています。

竹本さんは、地域によって障がいのある方への理解や福祉活動への協力のあり方に違いを感じてきたといいます。

その中で、岸和田をはじめとした泉州地域には、

「地域のために動こうとする人の熱量がある」

と感じたことが、活動を広げる理由のひとつになったそうです。

現在では岸和田だけでなく、堺、和泉など泉州周辺の企業・施設・店舗ともつながりが広がっています。

また、岸和田各地の公園で行われる平日マーケットとも連携。

一つの施設や一つの企業だけで完結させず、地域全体へ少しずつつながりを広げています。

街をつくるのは、そこに暮らす人たち

竹本さんが、泉州の人に一番伝えたいことがあります。

それは、

「自治体だけが街をつくるのではなく、市民が街をつくっていく」

ということ。

必ず商品を買わなければいけないわけではありません。

キッチンカーを見に来るだけでもいい。

「こんな商品があったらいい」

「こんな場所に出店してほしい」

そんな意見を伝えるだけでも、活動への参加になります。

地域にどんな人がいて、どんな仕事をしていて、どんな商品をつくっているのか。

まず知ることから始まります。

企業。

福祉施設。

キッチンカー。

地域のお店。

そして、そこに暮らす人たち。

それぞれが少しずつ関わることで、新しい仕事や新しいつながりが生まれていきます。

「支援」ではなく、「一緒に仕事をする」社会へ

月紬-TUMUGIプロジェクトが目指しているのは、誰かを一方的に助ける仕組みではありません。

人手が足りない企業には、人の力を。

仕事が足りない施設には、仕事を。

商品をつくる人には、売る場所を。

地域には、新しい出会いを。

それぞれが持っているものをつなぎ合わせることで、地域の中に循環をつくっていく。

竹本さんが話していた、

「協力してくれる方に甘えすぎず、すべての方にメリットが出るようにしたい」

という言葉。

そこに、月紬-TUMUGIプロジェクトが目指している姿が表れています。

まだ活動は途中です。

だからこそ、これからどんな企業や施設、店舗、人が加わり、泉州でどんなつながりが生まれていくのか。

今後の広がりにも注目したい活動です。

月紬-TUMUGIで販売・紹介している商品

月紬-TUMUGIでは、就労継続支援B型事業所などで作られた商品や、活動に協力するキッチンカーの商品を販売・紹介しています。

就労継続支援B型事業所などの商品

  • ネパールカレー
  • 壺焼き芋
  • 洋菓子(シュークリーム・シフォンケーキなど)
  • タコス・タコライス
  • 菓子パン など

協力キッチンカー

  • 麹カレー
  • 炭火焼き鳥
  • クレープ
  • どら焼き など

商品や出店内容は、開催場所や時期によって異なります。

月紬-TUMUGIプロジェクトに関わる皆さん

企業への内職・加工依頼、商品の販売、キッチンカーなど、さまざまな企業・店舗・事業所が月紬-TUMUGIの活動に関わっています。

月紬-TUMUGIファクトリー|内職・加工依頼

有限会社ティーイング
堺市西区

システムライティング株式会社
岸和田市河合町

株式会社ステップ
堺市西区

株式会社シンキ・ラブ
八尾市

株式会社植北パッケージ
大阪市生野区

このほかにも、就労継続支援事業所などが活動に参加しています。

キッチンカー・雑貨部門

Ayo2カフェ
堺市北区

壺焼き芋 ここいも
堺市北区

あおいとりのおかし
堺市中区

ドンタコス
岸和田市

青空ひまわり
和泉市

工房ポンテ
和泉市

ペンギンレレ
高槻市

そのほか、複数の就労継続支援事業所がプロジェクトに関わっています。

月紬-TUMUGIプロジェクト

活動名:月紬-TUMUGIプロジェクト
活動主幹:有限会社ティーイング
代表者:竹本高弘さん
主な活動:企業と就労継続支援施設の仕事のマッチング、商品販売支援、キッチンカー出店支援、販路・認知拡大など
主な活動地域:岸和田市をはじめとした泉州地域・大阪府内
Instagram:@tumugi_co_branding
ホームページ:https://tumugi-8.jimdosite.com/
商品販売:メルカリ・GOOOODSなど

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