Senshu encyclopedia / 泉州図鑑
【岸和田市】香りを選ぶ時間まで、自分だけの思い出に。「Sillage(シアージュ)」

香りは目には見えない。
けれど、ふとした香りから昔の記憶が蘇ったり、大切な人や場所を思い出したりすることがあります。
岸和田市野田町にある「Sillage(シアージュ)」は、そんな香りを自分自身の手でつくることができる、完全予約制のフレグランススタジオです。
数ある香りの中から、自分の好きな香りを選び、重ね、調香師と一緒にひとつの香りへと仕立てていく。
完成するのは、既製品の中から選んだ香水ではなく、その人自身が選んだ香りでつくられる「世界にひとつの香り」です。Sillageでは、ヒアリングを行い、香料を選び、自分の手で一滴ずつ重ねながら調合し、最後にボトリング・ラベリングまで行う体験を提供しています。
今回は、Sillageを運営する代表に、お店を始めたきっかけや香りへの想い、泉州で事業を続ける理由、そしてこれから挑戦したいことについてお話を伺いました。
介護をきっかけに出会った「香り」の世界
Sillageの始まりは、現在のような香水店を開くために香りを学び始めたことではありませんでした。
きっかけは、お母さまに介護が必要になったこと。
その中でアロマについて学び始め、「香りを楽しむ」という世界に少しずつ惹かれていったそうです。
NARDやメディカルアロマなどについて学ぶ中で、香りにはさまざまな楽しみ方があり、さらに「自分で香水をつくる」という世界があることを知りました。
そこから香りについてさらに学び、最初はマルシェのようなイベントへの出店から活動をスタート。
少しずつ人とのつながりを増やしながら、現在のSillageへとつながっていきました。

数十種類の香りからつくる「自分だけの香水」
Sillageの中心となるのが、自分自身の香水をつくるフレグランス体験です。
お客様の好きな香りや、どんなイメージの香りをつくりたいのかを聞きながら、数ある香料の中から候補を選んでいきます。
そこから一滴ずつ香りを重ね、調香師が全体のバランスを整えていく。
公式サイトでも、「対話を通してその人の感性や価値観、ライフスタイルまで丁寧にヒアリングすること」を大切にしていると紹介されています。
だからこそSillageでは、完全予約制というスタイルを採っています。
効率よく多くの人を案内するよりも、一人ひとりと向き合う時間を大切にするためです。
「どんな香りが好きなのか」
「どんな自分になりたいのか」
「誰と、どんな場面で使いたいのか」
そんな会話をしながら、一緒に香りを探していきます。

「違和感のある香りになったことは、一度もない」
いくつもの香りを混ぜ合わせると聞くと、
「自分で選んで、本当に良い香りになるの?」
と不安になる人もいるかもしれません。
しかし代表によると、これまで仕立ててきた中で「まとまりのない香りになってしまった」という経験はないそうです。
香りを自由に選んでもらいながらも、最後は調香師として全体のバランスを整える。
そこがSillageの技術でもあります。
お客様自身が選んだからこその「自分の香り」でありながら、きちんとひとつの香水として成立するように仕上げていきます。
カップルで訪れる人も多い。「香りを選ぶ時間」そのものを思い出に
Sillageには、カップルで来店するお客様も多いそうです。
お互いに香りを選んだり、
「こっちの方が似合う」
「この香り好きやな」
そんな会話をしながらつくる時間そのものが、ひとつの思い出になっていきます。

公式サイトでも、デートやギフトなどを利用シーンとして紹介しており、「香りを選ぶ時間まで、2人の記憶になる」という考え方が示されています。
香水という“モノ”を買うだけではなく、一緒につくった時間まで持ち帰れる。
Sillageならではの魅力です。
「おばちゃんパワー」が、Sillageのもうひとつの魅力
Sillageについて話を聞いている中で、香水以上に印象に残ったものがあります。
それが、代表自身の人柄です。
ご本人は、自分が評価されている部分について、
「おばちゃんパワーかな」
と笑います。
友達のお母さんのように話せる距離感。
初対面でも緊張させない接客。
そして、元気さや人を巻き込む力。
代表自身、
「接客と元気と、人を引き寄せる力は負けへん」
という自負があります。
真っ白で洗練された店内を見ると、「香水の専門店って少し緊張しそう」と感じる人もいるかもしれません。
でも、中にいるのは“泉州のおばちゃん”。
だからこそ、Sillageは見た目の美しさとは裏腹に、構えず話せる場所でもあります。
古民家から岸和田へ。「もっと多くの人に届けたい」
Sillage自体は以前からあり、もともとは泉佐野市上之郷の古民家で営業していました。
現在の岸和田市野田町の店舗へ移転したのは2025年5月。
移転を決めた背景には、ひとつの歯がゆさがありました。
香りをつくる楽しさをもっと多くの人に知ってほしい。
それでも、以前の場所では訪れてもらえる人が限られてしまう。
「もっと届けたい」
その想いから、現在の店舗への移転を決めたそうです。
現在のSillageは、岸和田市野田町2丁目18-18 大正第2ビル2階にあり、完全予約制で営業しています。
阪南生まれ、阪南育ち。だから泉州でやる
代表は、阪南生まれ、阪南育ち。
この事業を泉州で続ける理由のひとつは、この地域では同じようなサービスがまだ多くないと感じていることだと言います。
誰かがやっているから始めるのではなく、
「ないなら、やってみよう」
というチャレンジ精神。
そして、何より泉州という土地そのものが好きだそうです。
人が温かい。
一緒になって楽しんでくれる。
人と人との関係性を大切にする文化がある。
そんな泉州だからこそ、「香り」という少し珍しいサービスでも、地域の人と一緒になって育てていけると感じています。

次に挑戦したいのは「ブライダル」と「祭り」
Sillageには、すでに個人向けの香水づくりだけではなく、ブランドや店舗などに向けたオリジナルフレグランス制作という展開もあります。
公式サイトでは、ブランドコンセプトや空間イメージに合わせた香りの制作、ルームフレグランス、ルームミスト、ディフューザー、ノベルティなどへの対応も案内されています。
そして代表が、これから特に挑戦してみたいと話すのが「ブライダル」と「祭り」です。
例えば結婚式なら、その日のためにひとつの香りをつくる。
新郎新婦だけではなく、ゲストにもその香りを持ち帰ってもらう。
何年か後、ふとその香りを嗅いだ時に、結婚式の日を思い出す。
香りだからこそできる“記憶の残し方”です。
もうひとつが、泉州を象徴する祭りとの仕事。
祭りの文化と香り。
一見すると離れているように見える二つを掛け合わせ、泉州だからこそできる新しい仕事に挑戦してみたいと考えています。

「自分の人生を生きている人」とつながりたい
今後、どんな人とつながっていきたいか。
そう尋ねると、
「自分の人生を生きている人」
という答えが返ってきました。
年齢や肩書きではなく、自分で何かを決め、挑戦している人。
Sillage自身もまた、家族の介護をきっかけに始まった学びから、マルシェ出店、古民家での営業、そして店舗移転へと、一歩ずつ形を変えながら進んできました。
そして、事業を頑張った先の夢を聞くと、返ってきた答えはとてもシンプルでした。
「この仕事で稼いだお金で、旅行に行きたい」
壮大な企業理念だけではなく、自分自身の人生も楽しむ。
それもまた、Sillageらしさなのかもしれません。
「泉州のおばちゃん、めっちゃ頑張ってんで!」
最後に、泉州図鑑を読んで初めてSillageを知る方へ伝えたいことを聞きました。
一番伝えたいのは、
「敷居は高くないから、気軽に来てほしい」
ということ。
香水について詳しくなくても大丈夫。
どんな香りが好きなのか分からなくても大丈夫。
対話をしながら、一緒に探していく場所だからです。
そしてもうひとつ。
「泉州のおばちゃん、めっちゃ頑張ってんで!」
香りをきっかけに新しい世界へ飛び込み、マルシェから始め、店舗を持ち、さらに新しい挑戦を続ける。
その言葉には、Sillageというお店だけではなく、一人の泉州人として挑戦し続ける代表自身の姿が表れているように感じました。
香水を買うのではなく、自分だけの香りをつくってみる。
誰かと一緒に、その時間ごと思い出に残してみる。
少しでも気になった方は、一度Sillageを訪れてみてはいかがでしょうか。

Sillage 店舗情報
名称:Sillage(シアージュ)
所在地:大阪府岸和田市野田町2丁目18-18 大正第2ビル2F
主なサービス:オーダーフレグランス制作、香水づくり体験、ルームフレグランス・空間演出、法人向けオリジナルフレグランス制作
営業時間:10:00〜17:30(最終受付16:00)
営業形態:完全予約制
定休日:日曜日/不定休
アクセス:南海岸和田駅から徒歩10分
公式サイト:Sillage公式サイト
Instagram:@sillage0114